更新日:
手足のしびれとは?
「手足のしびれ」は、私たちの日常生活に突然現れ、不安を感じさせる症状のひとつです。ビリビリとした感覚、ピリピリとした痛み、あるいは感覚が鈍くなるような感覚を伴い、単なる疲労から重大な病気まで、さまざまな原因が考えられます。このコラムでは、「手足のしびれ」がなぜ起こるのか、どのような疾患が関連しているのか、そしてどのように対処すべきかについて詳しく解説します。
手足のしびれの主な症状と感覚
しびれと一口に言っても、その感覚は人によって異なります。一般的には以下のようなタイプがあります。
症状の例
- ピリピリと針で刺されるような感覚
- ビリビリと電気が走るような感覚
- 感覚が鈍くなる、触ってもよくわからない
- 冷たく感じる、熱さを感じにくい
一時的なしびれであれば、正座をした後の足のしびれのように血流が一時的に滞った結果として生じることがあり、心配は少ないですが、継続的あるいは頻繁にしびれが起こる場合は、何らかの神経障害が隠れている可能性があります。
手足のしびれの原因となる主な疾患
1. 頸椎症・頸椎椎間板ヘルニア
首の骨である頸椎が変形したり、椎間板が飛び出して神経を圧迫することで、手のしびれが現れることがあります。特に40代以降で首に負担のかかる生活をしている人に多く見られます。
2. 腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症
腰の神経が圧迫されることで、足にしびれや痛みが出ることがあります。長時間の歩行で症状が悪化し、前かがみになると楽になるのが特徴です。
3. 糖尿病性神経障害
血糖値が高い状態が続くことで、末梢神経が障害され、手足のしびれが出ることがあります。初期には両足のつま先からしびれ始め、徐々に進行していくケースが多いです。
4. 脳卒中・脳梗塞
突然のしびれが片側の手足に現れ、言葉が出ない・顔が歪むなどの症状を伴う場合は、脳卒中の可能性が疑われます。命に関わる緊急事態のため、直ちに受診が必要です。
5. ビタミン欠乏
特にビタミンB12の欠乏は、末梢神経の働きを妨げ、しびれを引き起こします。偏った食生活やアルコールの過剰摂取が背景にあることも。
6. その他の原因
・手根管症候群(手首の神経圧迫)
・肘部管症候群(肘の神経圧迫)
・自己免疫疾患(多発性硬化症など)
・ストレスや自律神経の乱れ
日常生活で気をつけるポイント
姿勢に注意する
長時間同じ姿勢で作業を続けると、神経が圧迫されしびれの原因になります。定期的にストレッチや体勢の変更を心がけましょう。
血流を促す
冷えはしびれを悪化させる原因のひとつ。適度な運動や入浴で血行を良くすることも大切です。
栄養バランスを整える
ビタミンB群、特にB12や葉酸を含む食品(レバー、魚介類、緑黄色野菜など)を積極的に摂取しましょう。
受診の目安と診断の流れ
次のような症状がある場合は、早めの受診が勧められます。
・しびれが長期間続く、あるいは徐々に悪化している
・一定の範囲だけでなく全身に広がっている
・動かしづらい、力が入らない
・突然、片側だけに強いしびれが出た
診察では、神経学的検査やMRI、血液検査などを通じて原因の特定を行います。場合によっては整形外科、神経内科、内科など複数科での連携が必要となることも。
まとめ
手足のしびれは一見よくある症状に思えますが、背後に深刻な病気が潜んでいることもあります。特に高齢者や糖尿病を持つ方、生活習慣に偏りがある方は、定期的なチェックと早期の医療機関受診が大切です。しびれのサインを軽視せず、体からの警告をきちんと受け止めることが、健康を守る第一歩です。